仏教用語『堪能』の意味
『堪能』
仏教では「かんのう」と読む。
意味は忍耐力、よくものに耐える力があることをいう。そこから、ものごとに耐えて会得したことから、技能に長(た)けている意味が加わり、現在では「もうじゅうぶん堪能した」と使われるように、十分にみちること。気のすむようにすることの意味になった。
仏教用語『堪能』と時事をまじえた法雅のひとりごと
衝撃!国内総生産が戦後最悪の落ち込み
「一期一会の御縁に感謝」僧侶歴30年の現役和尚・法雅(ほうが)です。
昨日は朝から報道各社は「昨年度(2020年度)のGDP(国内総生産)の伸び率が-4.6%となり、戦後最悪の落ち込み」と報道していました。
国内総生産という言葉は、昔学校でならったことがある程度で、今ひとつピンときません。
そこで、あらためて国内総生産のことを調べてみました。
国内総生産とは、英語で「gross domestic product」といい、それを略して「GDP」といいます。
grossは「総計」、domesticは「国内の、国産の」、productは「生産」。つまり国内で生産された総計のことで、生産が多ければ多いほど次第に儲けが増えてきます。
このことから国内総生産をざっくりと説明するならば、「一定期間内に国内で生産されたものが、どれほどの儲けをだしたかの総計」です。
本当はもっといろいろ加味すべきことがありますが、ざっくり理解するならば、これで充分です。
国内総生産でなにが分かるかといえば、今の日本の経済状態が良いか悪いかが分かります。
昨年度(2020年4月~2021年3月)はコロナ禍により2度の緊急事態宣言を出し、あえて経済活動を抑えて感染防止に努めてきました。
それが今回の国内総生産の落ち込みの原因です。
今回の-4.6%の下落という数値は、2008年のあのリーマンショックを超える下落ですから、今回のコロナ禍は歴史的にもおおきな出来事が起きているととらえたほうがよいでしょう。
一方、アメリカは景気が回復。その鍵はワクチン接種の進捗
ここまでは昨年度1年間の国内総生産のことを書きました。
では、直近(2021年1月~3月)の国内総生産はどうでしょうか。
日本では年率で-5.1%と大きな下落です。
これは1月からはじまった2回目の緊急事態宣言による個人消費の落ち込み、輸出や企業の設備投資の落ち込みが原因となっています。
一方、アメリカはどうでしょうか。
直近の国内総生産は年率で+6.4%と大幅に上昇しています。
これはワクチン接種が進んだことで経済活動がもどり、くわえて政府の経済対策の効果が現れました。
ワクチン接種の進捗により、経済状態が二極化しています。
このことを踏まえると、今年の経済を良くする鍵は、ワクチン接種をいかにスムーズに進めるかが大きなポイントになりそうです。
ようやくワクチン接種が本格化した日本。秋頃からは、ゴートゥートラベルなどの景気刺激策で、今年の経済を立て直したいところです。
それまではもう少し耐え忍びましょう。
仏教用語で「耐え忍ぶ」という意味がありながら、現在ではちがう意味で使われている言葉があります。
それは『堪能』です。
生活のなかに生きる仏教用語『堪能』
そこで本日の生活のなかに生きる仏教用語。
今回は『堪能』です。
「堪能」という言葉は仏教からきています。仏教では「かんのう」と読みます。
意味は忍耐力、よくものに耐える力があることをいいます。
そこから、ものごとに耐えて会得したことから、技能に長(た)けている意味が加わり、現在では「もうじゅうぶん堪能した」と使われるように、十分にみちること。気のすむようにすることの意味になりました。
仏道修行の道は厳しいので、耐える力が必要です。
また菩薩の修行にも『忍辱(にんにく)』があるように、仏教以外の者からの迫害を耐え忍び、恨まない修行もあります。
このように仏道修行は自分の心との戦いが多くあります。
それが『堪能(かんのう)』です。
そして、長い間耐え忍んで修行した結果、悟りを得ることができます。
堪能という言葉は、もとは修行中に耐える意味だったのが、いつの間にか、修行が満ちて体得し心が満たされた意味になりました。
原因がいつのまにか結果に。興味深い。
アフターコロナを堪能するため、今はもうすこし耐えよう
昨年度の日本経済は、国内総生産でいえば戦後最大の落ち込みをしました。
ですがアメリカの例を見ますと、ワクチン接種が行きわたってからは急上昇する見込みがあります。
アメリカから遅れること半年。ようやく日本もワクチン接種が本格化してきました。
今はもう少し堪能しましょう(耐えましょう)。
およそ半年ほどでアフターコロナを堪能できるようになりますから。(合掌)