仏教用語『外道』の意味
『外道』
仏教以外の教え。また、その教えを信奉する者をいう。
とくに有名なのは、釈尊が在した当時の六師外道(6人の思想家)で、道徳否定論などを人々に説いていた。やがて真理に背く邪説やそれを説く人を外道というようになり、妖怪や災難をもたらすものという意味も持つようになり現在にいたる。
仏教用語『外道』と時事をまじえた法雅のひとりごと
タリバン、破竹の勢いで首都カブールを制圧
「一期一会の御縁に感謝」僧侶歴30年の現役和尚・法雅(ほうが)です。
8月16日、1つのニュースが世界を震撼させました。
アフガニスタン政権がタリバンによって崩壊
少し前から、アメリカ軍のアフガン撤退や、アメリカ大使館職員の退避などの報道があり、緊張が増してきたのを感じてましたが、こんなに早く首都カブールがタリバンによって陥落し、今ままでの政権が崩壊するとは思ってもみませんでした。
その日のニュースでは、アフガニスタンから出国を試みる人たちが空港に殺到し死傷者がでていることや、欧米を中心とした60か国がタリバン側に共同で声明をしたことが報道されました。
まさにアフガニスタンは混乱の極みに達したようです。
アフガニスタン人と欧米諸国が懸念するタリバン
このように事実上、アフガニスタン全土はタリバンによって掌握されました。
それによる混乱の極みは以下の理由によります。
- 女性や少数派の人権が強く制限されるのではないかという懸念
- 再びアフガニスタンがテロの温床になるのではないかという警戒
つまり2001年までの5年間、タリバンが政権を担っていた時代に再びもどるのではないかという懸念が、アフガニスタン人と欧米諸国にあるからです。
そして、2001年9月にアメリカで起きた同時多発テロ(被害者約3,000人)のような大事件が再び起きるのではないかと心配されています。
20年前の「9.11」。今でも昨日のことのように覚えています。
タリバンとは何者か
では、これほど現地の人たちに恐れられ、諸外国からも懸念されているタリバンとはいったいなんでしょうか。
パシュトー語で「学生」を意味するタリバン。
厳格なイスラム法を教える神学校の「学生」たちが主なメンバーです。
1995年ころ、これらタリバンが勢力をアフガニスタン全土に拡大。
一時はタリバンを歓迎していた市民でしたが、独自の厳格なイスラム法を強いたタリバンに恐怖を感じていきます。
その内容は次の通りです。
- 殺人や不貞の罪を犯した人を公開処刑
- 窃盗で有罪となった人の手足を切断
- 男性にひげを伸ばすよう命令
- 女性には全身を覆うブルカの着用を義務付け
- テレビや音楽、映画を禁止
- 10歳以上の少女が学校に通うことを禁止
かつて徹底した宗教法に基づく統治をおこなったタリバン。
今回はどのようにアフガニスタンを統治するのか。世界が注目していています。
参照サイト:『BBC』【解説】タリバンとは何者か
法雅の見立てでは、タリバンのすることは変わらないと思います。
ところで、イスラム教やキリスト教のように、仏教以外のことを「外道」という言葉があります。
外道といえば、今はちがう意味で使われていますが、もとは仏教由来の言葉なのです。
生活のなかに生きる仏教用語『外道』
そこで本日の生活のなかに生きる仏教用語。
今回は『外道』です。
「外道」という言葉は仏教からきています。
仏教以外の教え。また、その教えを信奉する者をいいます。
とくに有名なのは、釈尊が在した当時の六師外道(6人の思想家)で、道徳否定論などを人々に説いていました。
やがて真理に背く邪説やそれを説く人を外道というようになり、妖怪や災難をもたらすものという意味も持つようになり現在にいたります。
ちなみに仏教のことを「内道」といいます。
お釈迦様がいらっしゃった時代、すでにインドではバラモン教が世の中に広まっていました。
そのバラモン教の権威を否定し庶民の支持を集めた6人の思想家がいました。
仏教もバラモン教の教えを否定するものですが、彼ら6人とはちがう立場にあることを示すため「六師外道」と称し、「仏教とはちがう道の者」と区別したのです。
やがてお釈迦様は6人の思想を論破することになるのです。
タリバンは世界から「外道」と呼ばれない統治をしてほしいものです
やがて外道という言葉は、仏教の意味から離れて「災難をもたらす者」という意味をもつようになります。
アフガニスタンを統治することになったタリバンは、世界から懸念の目が向けられていますが、20年前のようにテロ組織を匿(かくま)い「災難をもたらす者」と断定されない統治をしてほしいものです。
アフガニスタンの安寧と、人々の安心を祈るばかりです。(合掌)