仏教用語『所詮』の意味
『所詮』
仏教用語としての所詮は、能詮と対をなして用いられる。
経典によって説き明かされる内容やことわりを所詮といい、その内容をあらわす言葉や文字を能詮という。
この「能」は「~ する」という能動をあらわし、「所」は「~ される」という受身をあらわす語である。現在では、詮ずる所。つまるところや結局という意味で、しかも消極的な意味でつかわれる。
仏教用語『所詮』と時事をまじえた法雅のひとりごと
全国的なコロナ拡大にともない、芸能人にも感染者が増加の一途
「一期一会の御縁に感謝」僧侶歴30年の現役和尚・法雅(ほうが)です。
新型コロナウイルスの感染者が、全国で連日1万人を超えるという未だかつてない拡大をみせている昨今。芸能人の感染もよく聞かれるようになりました。(日にちは事務所発表日)
- 女優・永野芽郁さん(7月23日)
- くりぃむしちゅー・上田晋也さん(7月25日)
- お笑い芸人・陣内智則さん(7月30日)
- 歌舞伎俳優・市川猿之助さん(7月30日)
- タレント・野々村真さん(8月1日)
- 俳優・沢村一樹さん(8月8日)
- アイドル・HKT48メンバー5人(8月9日)
このようにテレビでよく見る芸能人が、次々とコロナ感染している状況に、全国的に拡大している感じを強く受けています。
皆さん、元気になって復帰してくださいね。
不謹慎ながら、こういう話題を聞くと、いつもはテレビの向こう側の芸能人にも急に親近感が湧きます。
つまり、彼らも私たちと同じ世界に住んでいる人間なんだと。
今と昔では芸能人の存在感はずいぶん変わったと感じます
なぜそのように法雅が感じるかというと、昭和時代からテレビを見てきた身として、テレビの世界は特別であってほしい願望があるからだと思います。
法雅の子供時代、テレビの世界は美空ひばりが歌をうたい、石原裕次郎が刑事役として活躍し、愛川欽也がクイズ番組の司会をしていました。
そういうテレビ界のレジェンドたちの活躍を見て育ったから「テレビの世界の芸能人は特別」と思っていたのでしょう。
そして時は平成・令和と流れ、テレビの世界もずいぶん様変わりしたと感じています。
どの番組もお笑い芸人かジャニーズがでて、アイドルといってもバラエティに長けたアイドルが重宝される時代です。
つまり昔の芸能人がもっていた特別感はうすれ、半ば素人同然の親近感が視聴者の共感を得る時代といったらいいのでしょうか。
たとえばテレビでよく見る阿佐ヶ谷姉妹は、あれだけテレビに出演しながら現在も杉並区阿佐ヶ谷のアパートに暮らしています。
もし、阿佐ヶ谷姉妹がタワーマンションに住んでいたならば、視聴者の共感を得られず仕事も減っていくことでしょう。
このように芸能人と一般人との壁はかなり無くなったと思います。
そういう中で芸能人のコロナ感染を聞くと、私たちと同じなんだという親近感が湧くのだと思います。
そうです。芸能人といえど所詮(つまるところ)、私たちと同じ人間なのですから。
ところで、所詮という言葉、もとは仏教由来の言葉なのです。
生活のなかに生きる仏教用語『所詮』
そこで本日の生活のなかに生きる仏教用語。
今回は『所詮』です。
「所詮」という言葉は仏教からきています。
仏教用語としての所詮は、能詮と対をなして用いられます。
経典によって説き明かされる内容やことわりを所詮といい、その内容をあらわす言葉や文字を能詮といいます。
この「能」は「~する」という能動をあらわし、「所」は「~される」という受身をあらわす言葉です。
現在では、詮ずる所。つまるところや結局という意味で、しかも消極的な意味でつかわれています。
仏教用語でいう「能」と「所」の関係
仏教用語の所詮と能詮はセットでおぼえるとよいです。
- 能詮(のうせん)…御経典の言葉・文字
- 所詮(しょせん)…御経典の内容・意味
仏様は言葉や文字を私たちに伝え(能詮)、私たちは仏様の言葉や文字を受け止めて、内容や意味を理解する(所詮)。こういう関係にあります。
仏教用語ではほかに、指導する人を「能化(のうけ)」、指導される者を「所化(しょけ)」というように、「能」と「所」をセットで用いることが多いです。
現在では、所詮を「つまるところ」や「結局」の意味に用いられ、どちらかというと消極的な意味で使われています。
「芸能人は歯が命」は昔の話。所詮(つまるところ)彼らも健康が命なのだ
一時期コマーシャルで「芸能人は歯が命」というフレーズが流行りましたが、コロナ禍の今もっとも大事なのは健康に違いありません。
それは芸能人に限らず、私たちも同じです。
これほど世界中が健康の大事さを問われているにもかかわらず、最近では「コロナ慣れ」や「自粛疲れ」といった言葉が飛び交うようでは健康のありがたさが薄れている証拠だと思います。
デルタ株はとても怖いウイルスです。
もう一度、健康の大事さを問い直してみましょう。(合掌)