仏教用語『自然』人間は自然の一部という根本を忘れがち

仏教用語『自然』の意味

『自然』(しぜん)

仏教では「じねん」と読む。
「自ら然(しか)る」という字から、「おのずから」とか「ひとりでに」という意味。
天然のままで人の手が加わっていないさま。あるがままのさま。

江戸時代、英語の「ネイチャー」の訳として自然があてられたことで意味が重層的になる。
山川・草木・海など、人類がそこで生まれ生活してきた場所、または人間の手が入っていない場所の意味でおもに使われるようになる。
明治以降「しぜん」と読むようになる。

仏教用語『自然』と時事をまじえた法雅のひとりごと

近年では、毎年のように全国各地で自然災害が頻発

「一期一会の御縁に感謝」僧侶歴30年の現役和尚・法雅(ほうが)です。
今回は『自然』について書いていこうと思います。

今年も7月上旬に豪雨災害が起こり70名を超える尊い命を失いました。
被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

ここ近年の自然災害が多いことは国が認めています。
国土交通省は『近年の自然災害の発生状況』と題する資料のなかで、以下の自然災害をあげています。

  1. 平成23年1月 霧島山噴火
  2. 平成27年9月 関東・東北豪雨
  3. 平成28年4月 熊本地震
  4. 平成28年8月 台風10号
  5. 平成29年7月 九州北部豪雨
  6. 平成30年7月 豪雨
  7. 平成30年9月 台風21号
  8. 平成30年9月 北海道胆振東部地震
  9. 令和元年8月 前線に伴う大雨
  10. 令和元年9月 台風15号
  11. 令和元年10月 台風19号

「近年では、毎年のように全国各地で自然災害が頻発し、甚大な被害が発生」と報告しています。
(参考:国土交通省の資料)

平均すると1年に2回程度、大きな自然災害が起こっていることになります。

地球温暖化が自然災害の原因のひとつと言われていますが、もしそうだとしても、自然災害を減らすことにつながるのかは不透明です。

さて「自然」という言葉はよく聞きますが、じつは仏教由来の言葉だということを知っている人は少ないようです。

生活のなかに生きる仏教用語『自然』

そこで本日の生活のなかに生きる仏教用語。
今回は『自然』です。

「自然」という言葉は仏教からきています。
仏教では「じねん」と読みます。
「自ら然(しか)る」という字から、「おのずから」とか「ひとりでに」という意味です。

また、天然のままで人の手が加わっていないさま。あるがままの様子のことも意味します。

江戸時代、英語の「ネイチャー」の訳として「自然」があてられたことで意味が重層的になります。
山川・草木・海など、人類がそこで生まれ生活してきた場所、または人間の手が入っていない場所の意味でおもに使われるようになり、現在にいたりました。

読み方も明治以降「しぜん」と読むようになりました。

本来は「おのずから」という意味だったのが、「おのずから生育している動植物」、「人間の手をかけずに作られた国土」の意味も追加されて使われるようになったと考えられます。

なかなか自然(しぜん)という言葉は奥が深い。

養老孟司さんのインタビュー記事に思うこと

東京大学の名誉教授・養老孟司さんが、自然と人間の関係性について述べた記事があります。
とても興味深い内容でしたのでご紹介します。
少し長い引用ですがご容赦ください。

日本が明治からずっとやってきたことの、いわば答えであって、問題じゃないんです。
こうなるまでには、ありとあらゆる事情の積み重ねがあって、今、その答えを我々は目の当たりにしている。

でも、皆、答えばかりに気を取られていて、問題は何だったんだっていうイマジネーションがほとんどない。
逆さまに考えることができない。

日本は高度経済成長以降は、猛烈な右肩上がりで、エネルギーを使ってきた。
この傾向って絶対にまずいと思った。

それで昔、電力会社の副社長に訊(き)いたことがある。
彼は「電力会社は電力を供給する義務を、法律で負わされています」と言った。
あ、これが右肩上がりの言い訳になっているんだなぁと思った。

仏教は完全に逆ですよね。
縁起、つまり一切のものは、網の目のように繋がって成立しているという思想。

自分も環境もないと。
我々は環境の一部である。あるいは環境って我々である、という考え方・・・・地球の環境がなかったら、人間は全員死んじゃうんだから、地球の環境も我々じゃないですか。

その根本はやっぱり、「私」と「環境」を分かつことに熱中しすぎたからじゃないか。

『週刊文春』平成23年4月7日号「阿川佐和子のこの人に会いたい」より

ここでは環境という言葉をつかっていますが、自然的環境の意味ですので自然に置きかえても意味は同じです。

このインタビューは、阪神大震災をはじめ多くの自然災害が増えたことに対して、仏教的な考えから自然災害の根本問題についてお話しされていたので、興味深く読みました。

人間は自然の一部という根本を忘れがち

とかく自然は人間と対するものとして考えがちですが、仏教が説いているように、人間は自然を超えた存在ではなく自然の一部に他なりません。

その人間が科学技術を駆使して、自然を破壊し経済を回してきました。
どうやら近年、自然災害というかたちでそのツケが回ってきたようです。

法雅は最近思うこと。

法雅の世代はまだなんとか大丈夫。
だけど子供の世代、孫の世代はなんだか大変そう。
なんだか申し訳ないことをした気分。

皆さんは、どのように思いますか?

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