仏教用語『七難』の意味
『七難』(しちなん)
経典に説かれる7つの災難のこと。
『法華経』、『薬師経』、『仁王経』などに説かれ、具体的な内容は経典によって異なるが、仏法の力でこのような災難を消滅できる意味では同じ。現在では災難ではなく、さまざまな欠点という意味でつかわれている。
仏教用語『七難』と時事をまじえた法雅のひとりごと
化粧品のCMでつかわれていた「七難」
「一期一会の御縁に感謝」僧侶歴30年の現役和尚・法雅(ほうが)です。
たまたまテレビを見ていましたら「大人の七難に」というナレーションが聞こえてきました。
変わったところで「七難」という言葉を使うんだなと思い、メーカーのホームページで七難を見てみました。
そうしたら、
- 凹凸
- 影
- 色
- 乾く
- 下がる
- 見えにくい
- おっくう
と書いてありました。
なるほど、ある程度の年齢になると肌の欠点が目立ち、化粧をすることすらおっくうになることが、ここでいう七難かと納得しました。
ことわざでつかわれている「七難」
昔から「色の白いは七難隠す」といって肌の色が白いだけで、自分のさまざまな欠点が見えにくくなるといわれています。
- 顔立ちの悪さ
- 性格の悪さ
- 生活の乱れ
- 老い
- 運の悪さ
- 色気の無さ
- 品のなさ
このように肌の色が白いことは、相手に対する印象を上げる効果があると昔から言われています。
ところで「七難」という言葉、本来は仏教からきている言葉であることはあまり知られていません。
生活のなかに生きる仏教用語『七難』
そこで本日の生活のなかに生きる仏教用語。
今回は『七難』です。
「七難」という言葉は仏教からきています。
もとはお経典に説かれる7つの災難のことをいいました。
『法華経』や『薬師経』、『仁王経』などに説かれ、具体的な内容は経典によってちがいはありますが、ともに仏法の力でこのような災難を消滅できる意味では同じです。
それが現在では災難ではなく、欠点の意味で使われています。
せっかくですので、すこし掘り下げてみましょう。
お経典にのっている『七難』
『法華経』普門品にのっている七難は、
- 火難
- 水難
- 羅刹(らせつ)難
- 王難
- 鬼難
- 枷鎖(かさ)難
- 怨賊(おんぞく)難
『薬師経』にのっている七難は、
- 人衆疾疫(しつえき)難
- 他国侵逼(しんぴつ)難
- 自界叛逆(ほんぎゃく)難
- 星宿変怪(へんげ)難
- 日月薄蝕(はくしょく)難
- 非時風雨難
- 過時不雨難
『仁王経』にのっている七難は、
- 日月失度難
- 星宿失度難
- 災火難
- 雨水難
- 悪風難
- 亢陽(こうよう)難
- 悪賊難
このようにお経典にのっている「七難」は部分的にちがいがあるので興味深いものがあります。
大雨による水害が、七難の代表ではないだろうか
3つのお経典に共通している災難があります。
大雨による水害です。
お釈迦様がいらした昔も、そして私たちがいる現代も、大雨による水害が代表的な災害といえましょう。
昨日の熊本でおこった豪雨災害により多くの人が犠牲になりました。
それどころか、毎年梅雨のおわりにどこかが豪雨災害に見舞われるようになりました。
そして梅雨が終われば本格的な台風シーズンがはじまります。
昨年は千葉県でおおきな被害がありました。
どうやら7月から9月まで、いつどこで豪雨災害がおきてもおかしくない。
いつの間にかそういう日本に変わったようです。
日頃から災害へのそなえなどを家族で話し合いましょう。