仏教用語『変化』の意味
『変化』(へんか)
仏教では「へんげ」という。
形が変わって違ったものが現れることを意味し、たとえば神や仏が仮にほかの姿となって現れることをいう。
権化(ごんげ)ともいう。現在では、ある状態からほかの状態にかわることをいう。
仏教用語『変化』と時事をまじえた法雅のひとりごと
香港で国家安全法が成立。急激な変化がおきる
「一期一会の御縁に感謝」僧侶歴30年の現役和尚・法雅(ほうが)です。
最近の海外のニュースで気になったことを紹介します。
それは香港で国家安全法が施行されたことです。
正式には「香港国家安全維持法」といい、6月30日に中国の全国人民代表大会常務委員会で可決・成立。
これをうけて香港政府は即時に施行した法律です。
これによって何が変わったかというと、国家の分裂や国家の安全に脅威をもたらすことは犯罪行為となり、中国当局が香港の治安維持に直接介入できるようになりました。
これは前回の大規模デモのきっかけとなった逃亡犯条例よりもレベルのちがう内容です。
国家安全法と逃亡犯条例のちがい
中国と香港は一国二制度をとり、建前上は50年間の自治を認めています。
そのため中国と香港では「一応別の国」あつかいのため容疑者の引き渡し協定はありません。
昨年、香港政府はある事件をきっかけとして容疑者の引き渡し協定国をふやすための逃亡犯条例改正案を審議しようとしました。
これに香港の市民は、活動家や中国政府に批判的な人が容疑をつくられて中国本土に引き渡される可能性があるとして大規模なデモがおきました。
結果、この改正案は撤回しましたが混乱は今もつづいています。
しかし今回の国家安全法によって「一応別の国」だったはずの中国が香港に直接介入できるようになるのですから大きな変化といえます。
もはや一国二制度は消えたと同じです。
法律の成立をうけて早速、デモの逮捕者が増えています。
『香港独立』や『光復香港』のプラカードをもっているだけで取り締まりの対象となり、言葉狩りがはじました。
デモの中心者たちは国外に出たり、活動の停止を公言したりするという変化もみられます。
皮肉なことにデモが広がるほど中国化がすすむ結果となってしまい、香港が中国化するレベルが一段上がったと感じます。
さて、「変化」という言葉はよく使われますが、じつは仏教由来の言葉だということはあまり知られていません。
生活のなかに生きる仏教用語『変化』
そこで本日の生活のなかに生きる仏教用語。
今回は『変化』です。
「変化」という言葉は仏教からきています。
もとは「へんげ」と読みました。
形が変わって違ったものが現れることを意味し、仏教ではたとえば仏様や帝釈天といった神様が人を救う目的で、かりの姿となって現れみちびくことをいいます。
これは権化(ごんげ)ともいいます。
また言い伝えとしてキツネや妖怪が人に化けることも「へんげ」といいます。
それが現在では「へんか」と読み、ある状態からほかの状態にかわる意味で使われています。
香港は今、中国化への急激な変化にさらされている
香港がイギリスから中国に返還されたのは1997年7月1日です。
この時のニュースをよく覚えています。
この時、中国政府が「50年間は一国二制度とし、現在の香港の制度を維持する」と表明したことに、
さすが悠久の歴史をもつ中国。
50年も制度を変えないとはすごい。
中国は資本主義の流れが止まらないだろうから、逆に中国が香港化するのでは
とその時は期待しましたが、残念ながらそういう流れにはなりませんでした。
見方をかえて中国からすれば、1842年の南京条約(アヘン戦争)以来の領土問題であり将来的には完全に中国化することでしょう。
いずれにしても、戦争を契機とした大きな変化にまきこまれ苦労するのは、いつの時代もそこに住む住民だと思います。