仏教用語『道具』の意味
『道具』(どうぐ)
仏道修行の用具・仏具のこと。
具体的には修行者が身につける3種類の「衣」と托鉢につかう「鉢」をあわせて「三衣一鉢」(さんねいっぱち)。
これが持つことを許された最低限の道具であった。現在では物を作り、また事をおこなうのに用いる器具の総称をいう。
仏教用語『道具』と時事をまじえた法雅のひとりごと
「一期一会の御縁に感謝」僧侶歴30年の現役和尚・法雅(ほうが)です。
7月1日、ちょうど1年の半分がすぎ後半が始まりました。
プラスチック製の道具全盛の時代
今日から始まった制度があります。
それはレジ袋の有料義務化です。
持ち手のあるプラスチック製の買い物袋は原則、有料にするというこの制度。
目的はプラスチックごみ(廃プラ)による世界的な海洋汚染だといいます。
そこで生活に身近なレジ袋を減らし、環境問題の改善をはかる目的です。
プラスチックは現代の道具を製造するうえで欠かせないものになっています。
今回のレジ袋のみならず、ペットボトル、電化製品、文房具、衣料品、など。
法雅がこの記事を書くために使っているパソコンもプラスチックで作られています。
プラスチックが本格的に実用化されたのは20世紀初頭ですから、わずか100年で人類に身近なものになったことがわかります。
プラスチックは加工しやすく水にとけにくい性質があり、道具の原料としては便利なものですが、廃棄されれば土壌汚染や海洋汚染につながり、燃やせば大気汚染になることが指摘されています。
便利なものって、どこかでしわ寄せがあるんですねぇ。
これらの自然の汚染はまわりまわって私たち人間にも影響を及ぼすので、レジ袋を減らすというたとえ小さな取り組みでも協力していきたいと思います。
法雅夫婦はずいぶん前からエコバッグを使っています。
また、使い捨てになりそうなペットボトルもあまり買いません。
私たちの身の回りには便利な道具がたくさんありますが、我が家では使い捨てになる道具を意識的に減らすようにしています。
さて道具という言葉はよく使われますが、じつは仏教由来の言葉だということはあまり知られていません。
生活のなかに生きる仏教用語『道具』
そこで本日の生活のなかに生きる仏教用語。
今回は『道具』です。
「道具」という言葉は仏教からきています。
もともとは仏道修行のための用具・仏具のことをいいました。
お釈迦様がいらした時の修行者は持ち物が制限されていました。
用途に応じてつかわれる3種類の「衣」と托鉢につかう「鉢」、これで「三衣一鉢」(さんねいっぱち)といいます。
この4つに敷物としてつかう「座具」と飲み水を濾(こ)す「漉水嚢(ろくすいのう)」をあわせて「六物」といいます。
これが修行を達成する目的で所持する「道具」でした。
それが現在では物をつくったり、あることをおこなうのに用いる器具のことを総称して道具といいます。
道具を利用してる?利用されてる?
修行者が自分の修行を達成するために使ったものが本来の「道具」です。
つまり道具をつかうには人生をよくするという明確な目的があったのです。
スマートフォンやパソコンなど、人生を豊かにする道具があふれる現代。
果たして自分の人生をよくする目的で利用しているでしょうか。
そうではなく、課金をうながされたり、個人情報をぬき取られたりと道具を媒介して自分が利用されてる側にいないか注意が必要です。
人生という道をともに歩くはずの道具が、使い方を間違えると道をはずれ「道愚」になります。
ともに気をつけていきましょう。