仏教用語『恩』の意味
『恩』(おん)
古代インド文字(サンスクリット)のウパカーラ。
意味は他人を思いやること。援助。同じく古代インド文字のクリタ。
意味は他人からなされたこと。中国ではもともと「めぐみ」の意味で恩の字が使われていたが、のちに仏教が伝わりウパカーラとクリタの訳として恩があてられた。
仏教用語『恩』と時事をまじえた法雅のひとりごと
7月15日は7月お盆の日です
お疲れ様です。法雅です。
今日はちょうどお盆の日です。
7月お盆の地域では、あちこちのお寺でお盆の法要(盂蘭盆会)をおこなっていると思います。
ちなみに法雅の住んでいる地域は8月お盆なので8月15日です。
同じ道南でも函館市は7月お盆です。
お盆は自分の両親をはじめご先祖の供養をしましょう。
仏教では4つの恩を説きます。
お経典によってちがいがありますが、『心地観経』というお経には、
- 父母の恩
- 衆生の恩
- 国王の恩
- 三宝の恩
これら4つの恩が説かれています。
この4つの恩のはじめに「父母の恩」があるように両親からいただいた恩は大きいことを仏教では教えています。
『父母恩重経』に説かれる10の恩
ある昔の和歌にこういう歌があります。
「諸人(もろびと)よ 思い知れかし 己(おの)が身の 誕生の日は 母苦難(くなん)の日」
私たちがこの世に生を受けた喜びの日は、母にとっては私たちを生むための苦難の日であり、このことを忘れてはならないという歌です。
自分の誕生日には、母親に感謝することも必要ですね。
親にとってみれば懐妊から成人するまで、ずっと心配と苦労を重ねながら子供を育てます。
このことを『父母恩重経』というお経典には、父母の恩を10種類あげています。
①懐胎守護(かいたいしゅご)の恩
懐妊から生まれるまでの十月十日の間、母のお腹のなかで保護される恩。②臨生受苦(りんしょうじゅく)の恩
出産に臨んでの母の苦しみに対する恩。③生子忘憂(しょうしぼうゆう)の恩
子供を無事に出産し元気な泣き声を聞くことによって、今までの身重(みおも)の苦しみや出産の苦しみを忘れるほど喜んでくれる恩。④乳哺養育(にゅうほよういく)の恩
膨大(ぼうだい)な量のお乳を生産して与え、養い育ててくれる恩。⑤廻乾就湿(かいかんじゅしつ)の恩
子供がオシッコなどしてふとんを濡らした時、子供を乾いたところに移してあげ、自分は湿ったふとんの上で休むという恩。⑥洗濯不浄(せんかんふじょう)の恩
汚物のついたおしめや衣服をいやがることなく洗ったり、濯いだりする恩。⑦嚥苦吐甘(えんくとかん)の恩
食べ物を一度口に含み、苦いもの辛いものまずいものは自らがのみ込んで、甘いもの美味しいものを子供に与える恩。⑧為造悪業(ぎぞうあくごう)の恩
子供のためには、悪いこと、してはいけないことと知りながらもやむをえず悪業をつくる恩。⑨遠行憶念(おんぎょうおくねん)の恩
子供が遠くに出かけた時など、家に帰ってくるまで、昼となく夜となく子供の無事安穏を願う恩。⑩苦境憐慾(くきょうれんみん)の恩
『父母恩重経』より
自分が生きている間は、いつまでも子供にかわって様々な艱難辛苦(かんなんしんく)を受けようと思い、子供の身をまもろうと願う恩。
このように、私たちが誕生する時から、一人の大人になるまで、生命ある限り私たちのことを思い、心配し、養い育ててくれる大きな恩徳が父母にはあると説かれています。
今回は恩について書いてきましたが、そもそも恩とはいったいなんでしょう。
生活のなかに生きる仏教用語『恩』
そこで本日の生活のなかに生きる仏教のことば。
今回は『恩』です。
「恩」という言葉は仏教からきています。
もともと中国では「めぐみ」の意味で恩の字が使われていましたが、のちに仏教が伝わってきて古代インド文字(サンスクリット)のウパカーラとクリタも「恩」と訳されました。
ウパカーラの意味は、他人を思いやること。援助。
クリタの意味は、他人からなされたこと。
相手を思いやり助けてあげたり、逆に相手から助けてもらったり、こういう関係の積み重ねで人は生きていき成長していくことを『恩』といいます。
恩に報いるためお盆の法要にお参りしましょう
昔、ある先輩から教えてもらったことがあります。それは『恩』の字についてです。
恩という字は上が原因の「因」、下が「心」、つまり原因を知る心が「恩」だ。
自分の今ある姿はいわゆる結果。
そこにいたるまでに(原因)、多くの人から育ててもらったはずだ。
その人たちに感謝する心が「恩」だ。
なるほど。一発で理解できました。
今日はお盆の日。
お盆の法要にお参りして、両親をはじめ、ご先祖、お世話になった方々への供養をして恩に報いる1日にしましょう。