仏教用語『月の兎』昔から人々の生活に欠かせない月の存在

仏教用語『月の兎』の意味

『月の兎』(つきのうさぎ)

昔から月の影を見て、月のなかでうさぎが餅をついている姿だと教えられたが、その由来は仏教の説話からきている。

(説話の内容は下記にあります)

仏教用語『月の兎』と時事をまじえた法雅のひとりごと

「一期一会の御縁に感謝」僧侶歴30年の現役和尚・法雅(ほうが)です。

昨夜の満月が「ストロベリームーン」と呼ばれること、法雅は知りませんでした。

日本では「十五夜」とか「十三夜」という名月の名前は知っていましたが、アメリカでもそういう満月の名前がしかも毎月あるとは知りませんでした。

そこで気になったので調べてみました。

そうすると月がいかに私たちの生活になくてはならない存在なのかあらためて知らされました。

昔はカレンダーというものはありませんでした。

日本では古くから暦がありましたが、世界中で使われていたわけではありません。

そうすると何をみて時節を知ったかというと「月」です。

およそ29日周期の月の満ち欠けをみて「今日は何番目の満月だから、そろそろ何を植えよう」と当時のネイティブアメリカンたちが月を観察して生活していたそうです。

月の名前を一覧にしました。
詳しくはこの記事(外部リンク)をご覧ください。
https://lovegreen.net/lifestyle-interior/p184891/

  • 1月:Wolf Moon(狼が空腹で遠吠えをする頃)
  • 2月:Snow Moon(狩猟が困難になる頃)
  • 3月:Worm Moon(土から虫が顔を出す頃)
  • 4月:Pink Moon(フロックスというピンクの花が咲く頃)
  • 5月:Flower Moon(花が咲く頃)
  • 6月:Strawberry Moon(イチゴが熟す頃)
  • 7月:Buck Moon(雄ジカの新しい枝角が出てくる頃)
  • 8月:Sturgeon Moon(チョウザメが成熟し、漁を始める頃)
  • 9月:Harvest Moon(収穫の頃)
  • 10月:Hunter’s Moon(狩猟を始める頃)
  • 11月:Beaver Moon(毛皮にするビーバーを捕獲するための罠を仕掛ける頃)
  • 12月:Cold Moon(冬の寒さが強まり、夜が長くなる頃)

広いアメリカ大陸ですから、地域によって異名がありますが、いずれにしても月を観察しながら生活していたなんて、今でいえば本当のスローライフといえます。

ところで日本では、よく月をみては「月にうさぎがいるんだよ」といわれたものです。じつはこの話し、由来は仏教から来ています。

生活のなかに生きる仏教用語『月の兎』

そこで本日の生活のなかに生きる仏教用語。
今回は『月の兎』です。

昔から月の影を見て、月のなかでうさぎが餅をついている姿だと教えられましたが、その由来は仏教の説話からきています。

その説話はお釈迦様の前世の話しとされています。

昔、インドの国にウサギ、キツネ、サルの3匹が菩薩の修行をしていました。
菩薩の修行とは困っている人がいたら助ける修行です。

あるとき飢えで困っている老人がいました。
サルは木の実をひろい、キツネは川から魚をとってきて老人にささげました。

ところがウサギはどこを探しても食べ物が見つかりません。

老人のもとにもどってきたウサギは、サルに柴を刈ってきてほしいと頼み、キツネにその柴を焚いてほしいと頼みます。

そしてウサギは燃えさかる炎に身をなげ、老人にささげました。

そのウサギの行動に感銘をうけた老人は帝釈天に身を変え、こう言います。

「このウサギの炎に入る姿を月の表面にうつして、すべての人々にみせよう。
月を見るたびに身をなげたウサギのことを思い出すように」と。

つまりウサギという畜生でさえ、おおきな慈悲をもっていることを人々の教訓にしたのです。

昔から人々の生活に欠かせない「月の存在」

このように昔から月は私たち人間にとって欠かせない存在となっています。

アメリカでは月は人々の生活の時期をおしえ、仏教では月は慈悲の精神をおしえています。

日本では明治から太陽暦(グレゴリオ暦)が使われはじめましたが、それまでは約1,000年間、太陰太陽暦を使っていました。

つまり月の動きをみて生活してきた時代のほうがはるかに長かったのです。

日本人の生活にも欠かすことができない存在だった月。

でも最近は月を見ない日が多いのではないでしょうか。

今度の満月には月を見てみましょう。

餅をついているウサギに見えますか?
それとも慈悲をおしえるウサギに見えますか?

月の兎アイキャッチ画像
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