仏教用語『普請』ワクチン接種は、現在の「天下普請」といってよい

仏教用語『普請』の意味

『普請』

普(あまね)く請(こ)う。
もとは禅宗寺院でおおぜいの人を集めて、掃除や建築などの作業・仕事を依頼すること。

現在でも、(寄りあつまって)建築や土木の工事をする意味でつかわれている。

仏教用語『普請』と時事をまじえた法雅のひとりごと

堤真一さん演じる平岡円四郎が暗殺されるなんて。残念

「一期一会の御縁に感謝」僧侶歴30年の現役和尚・法雅(ほうが)です。

先日のこのコーナーで、法雅は歴史が好きで今年は『青天を衝け』を欠かさず見ていると書きました。

昨日の回は、堤真一さん演じる平岡円四郎が暗殺されるシーンがあり、なんとも悔しい気持ちになりました。

徳川慶喜の側近・平岡円四郎役を、堤真一さんはちゃきちゃきの江戸っ子、主君に対しても歯に衣(きぬ)着せない口調で演じ、法雅はとても好感をもっていました。
それだけに、あまりに早い死を迎えたので残念です。

当時の武士や浪人は刀をもっていたため、攘夷を阻むものは誰でも殺される対象になるという物騒な世の中を象徴する事件となりました。

この時代に比べれば、今の世の中はとても平和です。

13代将軍・家定の後継将軍を決める時、平岡円四郎は慶喜を推すため諸藩の大名たちと精力的に活動しました。
それが元で、のちに安政の大獄で、甲府(山梨県)へ左遷させられたのです。

その時の役職が「甲府勝手小普請」。いわば不祥事を犯した旗本への懲罰人事です。

とくに仕事をあたえず、ただそこにいさせるという飼い殺し状態が数年続きました。
円四郎はこういう不遇な時代も乗りこえ、また歴史の表舞台にもどってきたのです。

もう堤真一さんを見れないなんて、寂しい。

あまり良いイメージがない「普請」という言葉

平岡円四郎が不遇な時を過ごした「甲府勝手小普請」の名前からでしょうか。
それとも、あまり良い家でないことを「安普請」といったからでしょうか。

「普請」という言葉はあまり良いイメージがないように思います。

しかし本来、普請は、おおぜい集まって建築や土木工事をする意味があり、歴史上一番有名な普請は江戸時代前期におこなわれた「天下普請」でしょう。
江戸幕府が全国の諸大名に命令し、持ち場を割りふり大規模な工事をさせました。

これで江戸幕府のハード面は完成し、揺るぎない基盤ができたのです。

ところで、普請という言葉、もとは仏教由来の言葉なのをご存じでしょうか。

生活のなかに生きる仏教用語『普請』

そこで本日の生活のなかに生きる仏教用語。

今回は『普請』です。
「普請」という言葉は仏教からきています。
普請とは普(あまね)く請(こ)うと書きます。
もとは禅宗寺院でおおぜいの人を集めて、掃除や建築などの作業・仕事を依頼することを言いました。

現在でも、(寄りあつまって)建築や土木の工事をする意味でつかわれています。

現在では、ほとんどが建築や土木関係で使われていますが、本来はおおぜいの人を集めての作業や仕事全般のことなので、意味はもっと広がります。

10年前の東日本大震災や近年の自然災害など、全国から多くのボランティアが集まって作業をする様子をみますが、これはまさに普請といえましょう。

ワクチン接種は、現在の「天下普請」といってよい

さらに昨年からのコロナ禍、ようやくコロナ感染を打開する方策が先日から始まりました。

それがワクチン接種です。

政府が全国の役所と医療機関を動員して、1日100万回を目標にワクチン接種を進めています。
まさに現代の天下普請です。

江戸時代の天下普請は、江戸幕府の支配体制を確固たるものにするのが目的でしたが、令和時代の天下普請は、コロナ禍を終息させ元の生活にもどすのが目的です。

法雅も早くワクチンを打ちたいと待ち望んでいます。(合掌)

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