16話 下の子供の高校入学と学費のやりくり。の巻

前回は父親の入院と別れについて書きました。

ちょうどお葬式の前後、下の子供の高校受験がありました。
下の子供はもともと勉強ができたので高校進学についてはなにも心配していませんでした。

法雅がもといた東北に住んでいたので、きっと東北の進学校にでも行って、そこから大学にいくんだろうなぁ、と予想していました。

しかし、予想はまったく外れました。

なんと上の子供と同じ工業高校に行くことを志望したのです。

法雅は内心思いました。
上の子供は小さい時から建築関係の仕事につくことを希望していたので建築科がある工業高校に行くことはわかります。

ところが下の子供はどういう将来の希望を持っているのか法雅は知らなかったのです。
ですから、なぜ工業高校に進むのか理解できなかったのです。

法雅は今まで上の子供ばかりに気を配りすぎて、下の子供の考えを知らなかったことが原因であり、反省すべきところです。

その後、法雅は下の子供にたっぷり向き合うことになりますが、それはまだ後の話しです。

下の子供は無事に受験に合格し、工業高校に入学することになりました。
法雅は父親の葬儀後の後片付けをしながら、入学準備をしました。

上の子供と同じ学校で2年前にも同じ準備をしてきたので、準備するものはそう難しくはありませんでした。
(くわしいことは8話をご覧ください)

入学費用はふたたび日本政策金融公庫の『国の教育ローン』から融資を受けることにしました。

子供1人あたり350万円まで借りられますので、審査が通れば2人で最大700万円まで融資を受けることができます。

2年前と同じく、入学式前日までに寮へ荷物運びをすませ、入学式当日を迎えました。

この学校は寮でも下宿でもどちらでも選択が可能です。

ただ、法雅の考えとしては、見知らぬ地で生活するのなら寮のほうが安全だと思いましたし、いざ病気にでもなれば寮の担当者が対応してくれるという面でも安心でした。

そういうことでは寮しか選択肢はありませんでした。

ところが上の子供は2年間の寮生活をしてそろそろ寮から出たかったことと、友達がふえてきて一緒に下宿しようと誘う友達もいたことから下宿生活にうつりました。

その様子をみていた下の子供は、寮と下宿との生活環境のちがいに納得せず、自分も下宿で生活したいと訴えました。

法雅は「1年間は寮生活をしてほしい。それ以降は考えるから」と渋々納得させて学校をあとにしました。

まさに下の子供の波乱の学生生活が始まりました。

さて、この1年間が学費のやりくりが最も大変だった1年間でした。

上の子供はあと1年たてば18歳となり奨学金をうける金額が大きくなります。

この1年間は毎月の下宿代(3食込み)で45,000円。
お小遣い20,000円がかかってきます。
それに臨時出費を合わせると年間900,000円。

教育ローンで450,000円充てたとしても450,000円は用意しなくてはなりません。

それに加えて下の子供が入学したので毎月の寮費と給食費で約40,000円。
お小遣い20,000円がかかり臨時出費をあわせると年間800,000円です。

教育ローン400,000円と奨学金240,000円を充てたとしても160,000円は用意しなくてはなりません。

つまり子供2人あわせて約600,000円をなんとか用意する1年間。

法雅は支払いを少なくして節約したりしましたが、毎月の返済もあるので結果として借金をふやしてしまいました。

これも子供の将来のためと思いましたが、法雅の家計が倒れて自己破産でもしてしまったら元も子もないとも思いました。

このころからでしょうか。
このままでは財政が危ないので、どこかで副業したいと考えはじめました。

宗派によって考えがちがうようですが、法雅の宗派は副業禁止です。

どうやったら安全に且つ安定的に収入を得ることができるのか、ゆっくり考え始めました。

(17話 上の子供の奨学金と下の子供の不登校につづく)

法雅の浮き沈みアイキャッチ画像
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