11話 北海道に住んでみてわかった4つの現実。の巻

今回は北海道に住んでみての正直な感想を書きます。

北海道へ観光に訪れた方は多いと思います。

しかし観光と居住はまったく別物。

観光は北海道にたいするイメージ(理想)で遊びにくるとするならば、居住は北海道の現実をまざまざと見せつけられます。

北海道に住み始めたころの不安

法雅は居住して5年経って、ようやく北海道の良さを実感できるようになりましたが、来た当初は北海道の現実を知るたび、ずっと住んでいられるだろうかと不安でした。

法雅が北海道に来た当初に感じた4つの正直な感想は、

①日本の最北にあるので当然冬は寒い
②北の大地はやはりデカい
③自然に畏怖を感じる
④インフラが弱い

この4点です。ひとつひとつ述べていきます。

きっと、5年経った今はその現実を受け入れられるようになって、気持ちに余裕が生まれたからこそ北海道の良さが実感できているのかもしれません。

①日本の最北にあるので冬は寒いです。

法雅は10年以上東北に住んでいたので、ある程度冬の寒さや雪にも慣れていました。

北国の冬に慣れている法雅でさえ、北海道の冬は厳しいと感じました。

地図上では北海道は最北にあるので「寒いだろうな」と頭でわかっていても、いざ津軽海峡を越えての寒さは格別です。

冬の時期、よく天気予報で気象衛星の画像をみるとき、大陸からの冷たい空気が直接北海道に流れている様子がわかります。

ちなみに今年冬の北海道内の最低気温は旭川市江丹別でマイナス36℃でした。

よく「北海道の家のなかは暖かいんですよね」と聞かれます。
たしかに暖かくしています。法雅のお寺の住居部分(庫裏)では、各部屋と廊下すべてストーブをつけて冬を乗りこえます。

言いかえれば灯油をかなり使って冬を乗りこえてます。

毎年、冬が来る前に灯油の値段をチェックし、どのようにストーブをつけるか検討しています。

5年目の冬になると、いろいろな工夫をして灯油の使用量を減らしつつ、部屋を暖めることができるようになりました。

北海道の冬は日本でもっとも寒いと同時に、冬を越えるための費用もかかるのが現実です。

②北の大地はやはりでっかいです。

よく「北の大地」として紹介される北海道。その広さはとても広大です。

日本の総面積の5分の1を占める北海道の面積は、いぜん法雅が住んでいた東北6県を足しても、優に超えるほどの広さです。

北海道で生活し始めたころ、その広さが苦痛に感じた時期がありました。

それは行動範囲がとても広いことです。

たとえば法雅が現在住んでいる道南でいえば、道南の中心地は函館市です。
函館市に病院や銀行、お店が集中しています。

ふだんの生活であれば、近くのスーパーやガソリンスタンド、町医者で用は足りますが、いざ特別な買い物、すこし厄介な病気にかかれば無条件で函館市までいくことになります。

道南では手術となれば必ず函館市の病院に行きます。

そうなると法雅のお寺からだと片道70㎞の道のりを1時間半かけて向かうことになります。

往復3時間ですので函館市に用を足しにいくことは、ほぼ一日仕事になります。

生活の範囲がとても広いのです。

また、宗派の会合などで札幌市にいくこともあります。車で4時間かけて札幌市まで向かいます。

東京の感覚だと、東京から車で4時間だと名古屋市まで行けます。

北海道はただ広いだけではなく、住んでみると生活の範囲もとても広いのが現実です。

しかし生粋の道民は、道南から札幌への道のりを高速道路ではなく、一般道をひたすら走るすがたに感服します。

③自然に畏怖(いふ)を感じます。

今は慣れましたが、来た当初は北海道の自然のすごさに圧倒されました。

北海道は雄大な自然が多いです。

言いかえれば過去に大きな地殻変動がおきて今の雄大な自然を作っているということです。

過去に火山活動が活発だったことは支笏湖・洞爺湖・摩周湖といったカルデラ湖をみれば分かります。

いずれの湖も見学しましたが、本州には無い素晴らしい魅力を感じました。

また一度だけ、道南から積丹半島まで海岸沿いを走ったことがあります。
ひたすら左手には海。右手には隆起した岩盤の造形に圧倒されながら走りました。

過去にどれほどの地殻変動がおこって、この造形をうみ北海道を形作っているか想像した時、自然のエネルギーに畏怖(おそれ)を感じます。

時にその自然のエネルギーは地震という災害になります。

  • 2018年9月  北海道胆振東部地震(M6.7)
  • 2003年9月  十勝沖地震(M8.0)
  • 1994年10月 北海道東方沖地震(M8.2)
  • 1993年7月  北海道南西沖地震(M7.8)
  • 1993年1月  釧路沖地震(M7.5)

また2020年4月に公表された内閣府の想定では北海道沖の千島海溝でマグニチュード9.3の地震が切迫しているとしています。

もちろん災害がないことが理想です。

ですが、北海道の自然はいつどこで自然のエネルギーが大きくなっても不思議ではありません。
そのポテンシャルをもっていることを知るべきだと思います。

北海道で生活するということは、自然のエネルギーとともに生きることでもあります。

④インフラが弱いです。

東北に住んでいた時はインフラが弱いことはあまり感じることもなく生活していました。

当たり前のように電車や新幹線、飛行機に乗り、高速道路を利用しました。
強いていえばバスの本数が少ないくらいでしょうか。

北海道で生活をはじめてインフラが弱い現実を目の当たりにしました。
たのみのJR北海道は深刻な赤字経営。不採算な路線は廃止しバスに転換しています。

法雅が住んでいる町の駅は廃線のためなくなりました。

特急をつかって札幌市に向かった時も、出発が30分遅れることはしばしば。
途中でシカと衝突してさらに遅れます。

大事な予定で電車を使うときは1本前の電車に乗ることをおすすめします。

飛行機も同様です。とくに冬、低気圧によって吹雪いた時は軒並み欠航になります。

高速道路は札幌周辺以外は片道一車線ですので、事故がおきたらすぐに通行止めになります。

北海道に住むということは、これらのことを受け入れて生活をすることです。
とくに大事な用事の時は早めに出発することが大事です。

冬の時期はなおさらです。

法雅にとっての希望は新幹線の札幌延伸です。

新函館北斗と札幌の間を約1時間でむすぶことは北海道のインフラにとって革命的といえるのではないかと思います。

まだ10年くらいかかるそうですが、楽しみに待ちたいと思います。

今は北海道がとても好きです

このように北海道に住むということは、北海道ならではのいろいろな現実と向き合うことになります。

でも、これらの現実が生活の一部のように受け入れることができれば、北海道の生活も楽しくなります。

法雅は慣れるまでに3年かかりましたが、今は北海道の自然が好きです。

北海道の食べ物が好きです。とくに北海道の自然から収穫される海の幸と山の幸は日本一だと思っています。

道民になって5年目の法雅は、生粋の道民(道産子)からみるとまだまだ新参者にちがいありません。

ですが、新参者だからこそ北海道の良さがわかります。本州との比較ができるからこそ言えること伝えることがあります。

これからも北海道の良いところ、すてきなお店、おすすめの商品を発信していきたいと思います。

(12話 2度目の結婚式へつづく)

法雅の浮き沈みアイキャッチ画像
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