12話 2度めの結婚。の巻

北海道のお寺に転居後、法雅はすぐにやりたいことがありました。

それは婚約者との結婚です。

以前のお寺にいればもう少し時間をかけて準備をするつもりが、北海道に転居したことにより結婚への障壁がまったく無くなりました。

早速、結婚への準備に取りかかりました。

僧侶の結婚とはどのようにするのかご存じない方がほとんどでしょう。

宗派によってちがうでしょうから一概にはいえませんが、法雅の宗派の場合、師匠に結婚のお許しをいただくことで結婚ができます。

法雅の師匠はこの時はご健在でしたので、師匠に連絡をし、婚約者の履歴書を先にお送りし目を通していただきます。

そして師匠と日程の調整をして、後日婚約者とともにご挨拶にうかがい結婚のお許しをいただきます。

お許しをいただけば、あとは家族の事情にのっとり結婚式の日取りを決め、準備に取りかかります。

僧侶の結婚式の場合、ほとんどの場合、お寺の本堂で挙式をすると思います。

法雅の場合、師匠に結婚式のお導師をお願いすることもできましたが、師匠は高齢であることや、法雅は2度目の結婚式であることを考慮し、ちかくのお寺のご住職にお導師をお願いすることにしました。

お寺というとどうしてもお葬式や法事というイメージがありますが、結婚式という祝い事はかえってお寺から喜ばれるものです。

お願いしたご住職はとても喜んで受け入れていただきました。

さて結婚式の出席者をどうするか、いろいろと検討しましたが今回は誰も呼ばないことにしました。

いろいろなことを考慮し法雅と婚約者のみの一番小さい結婚式にしました。

せめて服装だけでもと、法雅は紋付き袴、婚約者は白無垢を着ることにし、着つけの手配はお願いした御住職に用意していただきました。

結婚式の日の朝。
2人で近くのお寺に行き、さっそく着つけに取りかかりました。
紋付き袴を着るのは2度目ということもあり、着つけはスムーズに進みました。

準備の後、本堂に移動し結婚式が始まりました。

最初にお経があり、引きつづき三三九度の杯の儀式をおこないます。
この後、お導師から御言葉をいただきました。

静かな本堂で、お導師の御言葉のひとつひとつが心に染みいります。

  • 夫婦となることは決して偶然ではなく深い因縁によること。
  • 夫婦ともに力をあわせて生活をしていくこと。
  • 仏教の信仰をもとに幸せな家庭をつくっていくこと。

御言葉を拝聴しながら、過去から現在までのことが思い起こされ涙が込み上がりそうになりました。

そして妻に感謝しました。
本来、妻は両親が遺した家を守り、お墓を守る立場でしたが、法雅が北海道に転居するにあたり、家とお墓を残し最低限の荷物をもって北海道についてきてくれました。

お互い人生の後半戦。
これからもきっと苦労をかけるにちがいありません。
けれども残りの人生必ず添い遂げてみせると固く誓いました。

わずか30分の結婚式でしたが、法雅にとっては気持ちが改まる結婚式となりました。

お導師には結婚式に引きつづき、会食の席をもうけていただき、北海道に転居したばかりであまり面識はなかったにもかかわらず、すっかりお世話になりました。

これで法雅は再び身をかためて心機一転…と行きたかったところですが、伯母のゴタゴタが始まるのです。

つづきは次回にします。

(13話 母と伯母は3ヶ月でUターンにつづく)

法雅の浮き沈みアイキャッチ画像
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