『鬼滅の刃』を僧侶目線で読んでわかった3つのこと

お疲れ様です。法雅です。

今日は大ヒット漫画『鬼滅の刃』を、僧侶目線でかたってみたいと思います。

僧侶目線といっても、僧侶を代表しての話しではなく法雅のひとりごとです。

法雅は『鬼滅の刃』を見るたび、仏教的に3つのことを意識させられます。

①家族の「縁(えん)」の強さ
②断ち切れない「宿業(しょくごう)」
③仏教的な「生死観」

きっと作者は、仏教のことを相当勉強されているなと感心しています。

法雅と漫画との距離

「え?お坊さんも漫画を見るの?」

そうですねぇ。普段はまったく読みません。
ですが、急に「あの漫画を読みたい」と思いたち全巻買うこともあります。

前回そういう衝動にかられて漫画全巻をそろえたのは横山光輝の『三国志』です。
しかも10年前です。

テレビでアニメを見ることは好きです。
サザエさん。名探偵コナン。あたりでしょうか。

それくらい漫画やアニメとの距離が離れていた法雅にとって、大きな変化が訪れます。

子供による「アニメ教育」が始まる

下の子供との同居です。
同居のいきさつは『法雅の浮き沈み』で書きました。

下の子供はアニメを愛していることを公言し、父である法雅にもアニメの良さを知ってほしいとAbemaTVやAmazonプライムビデオから毎日1話ずつ見ることを約束しました。

一番最初に見たのが『ゾンビランドサガ』でした。

サザエさんで慣れていた法雅にとっては相当ショッキングでした。
ですが話しが進むにつれて普通に見られるようになりました。

そのあとは、

  • 『RELEASE THE SPYCE』
  • 『盾の勇者の成り上がり』
  • 『かぐや様は告らせたい』
  • 『転生したらスライムだった件』
  • 『私に天使が舞い降りた!』
  • 『炎炎ノ消防隊』

などなど、子供による法雅へのアニメ教育はみごとに花を開きました。

もちろんすべてのアニメで対応するわけではありませんが、見てきたアニメはどれも楽しめるものでした。

『鬼滅の刃』の魅力

そんななかアニメの『鬼滅の刃』と出会いました。
このアニメは今まで見てきたアニメとは異色なものだと最初から思いました。

(漫画版のネタバレがあります。ご容赦ください)

物語の舞台は大正時代。この時代設定にも唸(うな)りました。

大正時代は15年という短い時代にもかかわらず、第1次世界大戦、関東大震災といった大きな出来事があります。
また日本の西洋化が進み、「大正デモクラシー」とよばれる民主化や女性による社会進出が進んだ時代でもあります。

昭和生まれの法雅にとって、1つ前の時代という親しみやリアリティーを感じる時代でもあります。

なぜか「鬼滅の刃のストーリーって実際にあったんじゃないの」と思わせる不思議な時代設定に法雅はすっかりやられました。

そして物語の目的はいたってシンプルです。

「鬼になってしまった妹を人間にもどす」

この目的のためだったら、首が飛ぶシーンだって、血が多く流れるシーンだって「これも禰豆子(ねずこ)を人間に戻すため」という気持ちで見れます。

法雅はアニメが終わった後、どうしても続きがみたいという衝動に駆(か)られ、三国志以来となる漫画全巻(19巻まで)を購入。

その後の話しは、いろんなものを駆使して情報をえて、現在はデジタル版のジャンプを見て楽しんでいます。

この記事を書いている現在は、鬼舞辻無惨は死に、無惨(むざん)の血を体内に流されてしまった炭治郎が鬼と化しているところです。

太陽の光で無惨がわりとあっけなく消え、「あれ?」と思ったところに作者は最後の仕掛けをしていました。さすがです。

『鬼滅の刃』を、僧侶目線で読んでわかった3つのこと

『鬼滅の刃』の魅力はほかにもいろいろあります。
キャラの濃い登場人物たち。炭治郎と善逸、伊之助のかけあいのおもしろさ。
これらは他の人のブログにも紹介されているでしょうから割愛します。

ここでは僧侶である法雅ならではの視点で3点ひとりごとをします。

鬼滅の刃を読んでいくと、作者の吾峠呼世晴先生は相当仏教のことを勉強されているのではないかと、たびたび思いました。
念仏の羽織をまとった岩柱・悲鳴嶼行冥(ひめじまぎょうめい)が登場人物にいるのもその証拠とも思いました。

鬼滅の刃のストーリーの根幹には、仏教的な3つのことがしっかり入っています。

  1. 家族の「縁(えん)」の強さ
  2. 断ち切れない「宿業(しゅくごう)」
  3. 仏教的な「生死観」

これらの3つのことが根幹にあるからこそ、物語そのものに極太の骨格ができ、老若男女とわず共鳴できる物語が生まれるのだと思います。

①家族の「縁(えん)」の強さ

仏教では「縁(えん)」というものを説きます。
縁とは人と人のつながりのことです。

もっと掘り下げていうと「原因をたすけて結果を生じさせる作用」(広辞苑)です。

たとえば『鬼滅の刃』第1話でいえば、炭治郎の家族が鬼舞辻無惨に襲われたことで禰豆子は鬼になりました。
この場合、無惨に襲われなければ鬼にならなかったので、無惨が縁になります。

炭治郎は鬼の禰豆子を背負っている時、冨岡義勇(ぎゆう)に会わなければ鬼殺隊に入ることもなかったので、義勇が縁になります。

これが仏教で説く縁です。
世の中にはこういった縁がたくさんあって私たちの生活や人生を左右しています。

そして縁の中でもっとも強い縁が「家族の縁」です。
たしかに私たちの体は親の体を分けてもらってこの世に存在しています。
良くも悪くもこれにまさる縁はありません。

鬼滅の刃では炭治郎のみならず、柱や鬼たちにも親や家族のエピソードが出てきます。
それがこの物語をより厚みのあるものにしています。

炭治郎にいたっては、ピンチの時に必ず亡くなった家族が助けます。
さらに無惨戦の時には祖先の炭吉が攻略のヒントを無意識の中で教えます。

作者は鬼滅の刃の物語に、一貫して家族や一族の縁の強さを伝えたいのではないかと思います。

②断ち切れない「宿業(しゅくごう)」

仏教では「業」というものを説きます。
業とは分かりやすくいえば「おこない」のことです。

人間は良いおこないも、悪いおこないもして、そのおこないの積み重ねで人生を左右しています。

そして仏教では生まれ変わりを説きますので、過去世にとてつもなく大きなおこないをした結果は、次の世にも消えることなく影響する。

このことを「宿業(しゅくごう)」と言います。

鬼滅の刃では、千年前の産屋敷(うぶやしき)家から稀代(きだい)の殺人鬼・鬼舞辻無惨を出してしまった「宿業」として、代々の産屋敷家の当主は30歳になる前に病死します。

鬼舞辻無惨が、千年間人を殺し続けてきた報(むく)いを千年にもわたって産屋敷家が受けつづけるという形で「宿業」を表現しています。

産屋敷家ではその宿業を断ち切ろうと、古来から鬼殺隊を活動させ鬼舞辻無惨の死を狙ってきました。

千年間とは驚くような時間ですが、それくらい宿業を断ち切るのは難しいことを作者は言いたいのではないでしょうか。

③仏教的な「生死観」

仏教では生前良いおこないを積み重ねた人は浄土へ。悪いおこないを積み重ねた人は地獄へ行くという考え方があります。

鬼滅の刃では下弦の五の鬼・累(るい)が首を斬られた時、亡き両親が累とともに地獄に行こうとするシーンがありました。
また風柱・不死川実弥(しなずがわさねみ)が無惨の死のあとに生死をさまよい、弟妹がいる浄土か、親がいる地獄かの選択をするシーンがありました。

これらはあきらかに作者が、仏教的な生死観につよく影響を受けていることがわかります。

3つが織りなす物語『鬼滅の刃』

法雅が僧侶目線で鬼滅の刃をよむと、上記の3つのことを感じます。

おそらく作者・吾峠呼世晴先生は仏教をとても勉強されていて、家族の縁・宿業・仏教的な生死観の3つを織りなしたこの作品を作られたのではないかと思います。

物語はいよいよクライマックスです。

禰豆子は人間にもどって物語の目的は達成しましたが、肝心の炭治郎が鬼になってしまいました。

どうやって炭治郎が人間に戻るのか法雅はとても楽しみです。

おそらく感動的な結末がまっているのではないかと期待して、今回のひとりごとを終わります。

お付き合いいただきありがとうございました。

『鬼滅の刃』最終回を見て(5月18日追記)

本日、鬼滅の刃が完結しました。
吾峠先生、よい作品を世に出してくださりありがとうございました。

最終回も「家族の縁」・「宿業」・「仏教的な生死観」の3つをつよく感じました。

  • 「家族の縁」は、現代を平和に生きる炭治郎や善逸たちの子孫がいきいきと描かれていました。
  • 「宿業」は、鬼無辻無惨を産屋敷家から出してしまった宿業によって当主は30歳以上生きられなかったのが、無惨を倒したことで宿業が消え、産屋敷耀哉が日本最高齢記録を更新したニュースが流れていました。
  • 「仏教的な生死観」では、最終回に善逸の子孫の言葉で「輪廻転生」とはっきり伝えていました。

「俺は信じるよ。
絶対みんな転生して幸せに生きているんだ。
平和のために鬼と戦って命を落とした人たちは」

このセリフこそが作者が一連の物語を通してもっとも言いたかったことであり、私たちへのメッセージだと感じました。

法雅もふくめて、私たちは平和のため、社会のために命をかけて行動しているでしょうか。

もしも、そのために命を落としたとしても幸せに転生するというのが仏教の思想です。

やはり吾峠先生は仏教を勉強しているばかりではなく、信心深い仏教徒であることが垣間見えました。

吾峠先生のこれからのご活躍と次の作品を期待しつつ、このコーナーを終わります。

『鬼滅の刃』関連本が多数出版されています。

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