3話 大借金時代のはじまり。の巻

皆さんはあまりお寺の会計のことはご存じないかと思います。

ほとんどのお寺はそれぞれ宗教法人の認可をうけていると思います。
ということは簡単にいえばお寺もひとつの会社として認可されているということです。

新しい年度(4月)がくる前に、お寺として1年間の予算書を作り総代さんと協議して印鑑をいただく。これで初めてお寺のお金を動かすことができます。

年度が終われば決算書をつくり、予算に対して実際はどうだったのかを総代さんに報告して印鑑をいただく。
そのコピーを所轄庁(主に都道府県)に提出して終わります。

お寺のお金は公のもの。住職の独断では決められないのです

そしてお寺ならではの事情があります。

ほとんどの住職とその家族は、お寺で住み込みではたらいているという形になります。
電気・ガス・水道・電話代といった費用は、どこまでがお寺で、どこまでが私用かという線引きがあいまいになります。

たとえば電気のブレーカーはお寺用分と私用分とがあるわけではなく一つにまとまっています。こうなると厳密に公私をわけるのが難しくなります。

一応、私用の分としての家事費をお寺に毎月収めることになっていますが、その裁量は住職に任されています。

経費と私用の線引きは、どこのお寺も課題になっていると思います

そして人件費は法人ですので給与となります。給与をいただくときに所得税が発生しますので半年に1回納付する形です。

1年間の給与額は予算書で決まっていますので、基本としてその金額を越えて受け取れない仕組みになっています。

法雅のお寺は小さいお寺なので安い給与でしたが、ぜいたくをしなければ家族が生活できて、子供2人ならば高校までは卒業させることができる給与をいただけていました。

ところが法雅は離婚して、近くに住んでいる子供たちの養育費と教育費を払う必要があります。
法雅の給与の大半を子供たちに渡し、両親の年金で食べさせてもらうという生活です。

通常なにもなければ、これでお金はまわるはずですが、修学旅行や誕生日、塾の夏期講習といったイベントや行事があると途端に回らなくなります。

その埋め合わせでカードローンを申請して使い始めました。

『バンクイック』という三菱東京UFJ銀行のカードローンです。
借りた金額に応じて2,000円から返済できるので使いやすいと思いました。

最初は緊張しながらコンビニのATMで少額を借りていましたが、回数が重なるとだんだんと慣れてくるものです。

同時にここから大借金時代のはじまりです。

4話「法雅の教育観」につづく⇒

法雅の浮き沈みアイキャッチ画像
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