仏教用語『利益』の意味
『利益』(りえき)
仏教では「りやく」と読む。
神仏の力によって授かる良い効果や効き目。恵み。
よく「ご利益」という。現代では「りえき」と読み、儲(もう)けの意味をもつ。
仏教用語『利益』と時事をまじえた法雅のひとりごと
戦国時代の裏にあった巨大な利益をめぐる驚きの内容
「一期一会の御縁に感謝」僧侶歴30年の現役和尚・法雅(ほうが)です。
先日の日曜日の『NHKスペシャル』をたまたま見ていましたら、驚きの内容で今までの歴史の見方が変わりました。
タイトルは『戦国~激動の世界と日本~(2)ジャパン・シルバーを獲得せよ』です。
戦国の時代を終わらせた徳川家康の後ろ盾には、スペインとの覇権争いをしていたオランダが武器の提供をしていたという内容でした。
番組各所に驚いたポイントがありましたので、まとめてみました。
- 家康は豊臣家を倒して天下取りを果たしたい。オランダは日本からとれる良質な銀がほしい。こうしてお互いの利害が一致していたこと。
- 途中、スペインが家康を取り込もうとしたが、オランダの進言でスペインが撤退。これがのちにキリスト教禁止令につながったこと。
- 豊臣側にはスペイン、家康側にはオランダ、このように大坂夏の陣は両国の代理戦争になったこと。
- 大坂夏の陣の勝利の決め手は、オランダが持ち込んだ最新の大砲(カノン砲)だったこと。
- 戦国時代のあと、オランダは東南アジアにおけるスペインとの戦いで、日本のサムライを傭兵にしていたこと。しかも家康が許可していた。
いずれも驚きの内容で、歴史好きな法雅にはあっという間の50分間でした。
日本の歴史の裏でオランダとスペインの対立が関係していたこと。
そしてなにより両国がなぜ日本に近づいたのか。
それは、当時の国際通貨である「銀」を多くもつ国こそが世界のトップになるからです。
当時日本は世界の3分の1を産出する銀の国でした。
徳川家康は兵器を手に入れ日本全国を手中におさめるためオランダと手を結び、オランダは銀を手に入れ世界のトップになるため家康と手を結んだ。
どちらの野心のほうが規模が大きいかは一目瞭然ですが、いずれも得られる「利益」は巨大だと思います。
さて、利益という言葉はよく聞きますが、もとは仏教語だということは、あまり知られていません。
生活のなかに生きる仏教用語『利益』
そこで本日の生活のなかに生きる仏教用語。
今回は『利益』です。
「利益」という言葉は仏教からきています。もとは「りやく」と読みました。
意味は神仏の力によって授かる良い効果や効き目。恵みのこと。
よく「ご利益」といいます。
現在では「りえき」と読み、ほとんどが「儲(もう)け」の意味で使われています。
本来は神仏からの恵みである利益が、いまでは経済のもうけで使われることがほとんどです。
それだけ私たちの生活が損得を中心に動いているかわかります。
巨大な利益は、時に歴史をも動かす
1人の人生も利益がある方向に動いていくのはある意味自然なことです。
たとえば有利な転職先がみつかったとか、家のローンはこっちのほうが金利が安いとか、利益は判断の基準の1つといってよいでしょう。
1人の人間でさえそうなんですから、それが会社になり、国になったとしたら、取り扱う利益の大きさも巨大になります。
今回は戦国時代の内容を紹介しましたが、見方を変えれば家康もオランダも、いろいろな選択肢があるなか利益が大きいと判断したほうに動いているということだと思います。
それで歴史が動いているという事実です。
これは戦国時代のみならず、いつの時代も、そして現代も同じだと思います。
利益を得ることはけっして悪いことだとは思いません。
ただし、その利益は最終的に全体の利益になるのか。
それともごく一部の人の利益になるのか。
それによって歴史の評価が分かれるのだと思います。